2009 Fiscal Year Annual Research Report
住民の主体形成とコミュニティソーシャルワークを展開するシステムの促進要因分析
Project/Area Number |
20730374
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
菱沼 幹男 Bunkyo Gakuin University, 人間学部・人間福祉学科, 助教 (80406347)
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Keywords | コミュニティソーシャルワーク / ネットワーキング / 主体形成 / 小地域担当専門職チーム / 地域アセスメント / 社会資源開発 / 二層システム / スペシャリストチーム |
Research Abstract |
コミュニティソーシャルワークは、生活課題を抱える本人や家族に対する個別援助と、その人々が暮らす地域へのアプローチを統合的に展開するものである。こうしたコミュニティソーシャルワーク実践の展開には、各専門職の属人的要素とシステムという構造的要素が複雑に絡み合っており、また住民自身の主体形成の程度が地域の福祉力に影響を与えている。そこで本研究ではこうした実践を促進するために何が必要となるのかをヒアリング調査によって明らかにすることを目的とした。そのためコミュニティソーシャルワーク実践を先駆的に展開している長野県茅野市などで調査を行い、その結果、コミュニティソーシャルワーク実践の核となる「ネットワーキング」に関して、地域住民との連携や多様な専門職の連携を促進する要因として「小地域担当専門職チームの配置」が有効な方策として確認することができた。特に社会福祉協議会職員と他の専門職がチームを形成することにより、地域の個別課題に即した福祉教育等によって住民の主体形成が図られていた。しかしながら一方で、この方法における課題も明らかとなった。例えば自分達が担当する地域状況については地域アセスメントや住民との関係形成等に努めるが、他の地域が見えなくなり広域的な視点から社会資源の開発等について考えにくくなることや、チームが全ての問題に対応できるわけでなく、しかるべき専門機関に適切につなぐ機能が必要なこと等である。そのため、専門職チームを小地域に配置する一方で、全体を見渡す役割を持った専門職の配置が必要であり、また小地域を担当する第一線チームと広域的なエリアを対象としたスペシャリストチームによる二層システムの構築が必要であることが本研究を通して明らかとなった。
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