2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730383
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
高木 邦子 Seirei Christopher University, 社会福祉学部, 助教 (00447864)
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Keywords | 教育心理学 / 社会福祉現場 / リアリティ・ショック / 職場適応 / 専門職養成課程 / 現場実習 |
Research Abstract |
福祉系専門職におけるリアリティ・ショックの実態を把握するため、福祉施設の新卒職員(就職2年以内)と、現場実習後の福祉系大学生を対象とした調査を実施し、現場と専門職養成機関からの職場適応支援の可能性について検討した。新卒者では90%の回答者が「この仕事に就いて良かった」と感じた経験を報告する一方で、85%の回答者が何らかのリアリティ・ショックを報告しており、新卒者にとってのショック経験は決して稀なものではないことが示された。ショックの側面としては、新卒者・大学生ともに新卒看護師のリアリティ・ショック研究でしばしば挙げられる「自身の技術や能力の不足」が顕著であった。しかしながら、現場で自身の技術・能力・知識などの無さに直面することは、実習生や新卒者にとっては辛い体験であるが、職業的社会化を進め成長する原動力にもなる。したがって、こうした困難に直面している新卒者や実習生がそれを乗り越えるための効果的サポートの体制が福祉現場および教育機関に求められるといえる。また、新卒者からは仕事量の多さによるゆとりのない勤務や、詳しい説明もないまま即戦力として扱われることへの不安など「仕事内容」に関するショックも多く挙げられた。この点も、看護師のリアリティ・ショック側面と共通したものであるが、大学生の現場実習ショックとしては多くは報告されておらず、実習生と職員の責任や周囲からの要求などの違いが反映されていることがうかがえる。 福祉職新卒者から報告されるショックの側面は、看護師を対象とした専攻研究で挙げられるものと一致していることから、福祉現場においても新卒看護師に対する職場適応方略を適用可能であると考えられる。また、職業モデルとなるような職員との出会いやメンターの確保など、個人レベルで可能な対応のほか、職場組織による活動としてプリセプター制の導入などが期待されよう。本研究からもショック時のソーシャル・サポートの活用は示されたが、新卒者の一部には施設職員との関係にショックを報告した者も多く、サポート資源確保に困難の見られる者も見受けられたことから、福祉職志望者の社会的スキルの向上と、福祉現場での円滑な対人関係構築もまた必要であるといえる。
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Research Products
(1 results)