2010 Fiscal Year Annual Research Report
ボランティア・NPOによる社会関係資本醸成・活用:ネットワークベースアプローチ
Project/Area Number |
20730386
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
桜井 政成 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (90425009)
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Keywords | ボランティア / 福祉NPO / 社会関係資本 / ネットワーク / 社会起業家 |
Research Abstract |
本研究では、いままで不透明なままであったNPOやボランティアによる地域福祉の改善・発展に寄与する信頼や規範といった社会関係資本(social capital)の醸成や活用の過程について、ネットワークベースのアプローチを用いることによって解明を試みるものであった。現代のコミュニティ(とりわけ都市部)においては、近隣地域を越えた重層的な社会圏(social circles)が存在し、そして住民はそれらを連結する存在であることが明らかとなってきている。このためネットワークベースアプローチを用いて地域社会での社会関係資本の醸成と活用の過程を解明する作業は、大きな可能性を持った、きわめて有効的な方法であるといえよう。 量的調査の成果としては、二次データの分析によって、日本の市民運動や地域活動への参加の規定因について、とりわけソーシャルキャピタルの影響を分析した。その結果、地域活動の参加と、市民運動の参加とには、異なる性質のソーシャルキャピタルが影響することが明らかとなっている。 質的調査の成果としてはまず、地域福祉の起業事例として宅老所を例に、その設立者達がどのようなソーシャルキャピタルによって立ち上けに必要な諸資源を調達したのかを分析した。市場での資源調達が困難な設立者達は、インフォーマルなネットワーク(ソーシャルキャビタル)によって資源と調達する傾向があることが明らかとなった。 またNNPO間のネットワーク形成における中間支援組織・施設の役割について、「京都府山城NPOパートナーシップセンター」の事例より、実証的に分析した。中間支援組織においては、日々の活動の中で、NPO同士、あるいはNPOと他セクターの諸組織・諸個人間のコア・ネットワークが、様々な形で形成されており、それを活用し、協働事業を実施していくことが、そのコア・ネットウーク内のNPO支援につながるといえる。
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Research Products
(7 results)