2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730392
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
納戸 美佐子 Kurume University, 文学部, 助教 (40421325)
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Keywords | 認知症高齢者 / グループホーム / QOL |
Research Abstract |
本研究においては、歩行運動がグループホームにおける認知症高齢者の日常生活のQOLに及ぼす影響について検討した。グループホームに入居している認知症高齢者を対象に、歩行運動実施日の生活行動について行動観察を行うことにより、介護者や他の入居者とのコミュニケーションや日常生活の生活行動について詳細に記録した。同時に、アクティブトレーサーを用いて長時間の測定を行い、心電図のR-R間隔を計測し、スペクトル解析を行うことにより、交感神経および副交感神経の活動バランスについて評価した。また、歩行環境が認知症高齢者の行動的側面および心理面に及ぼす影響について検討するために、歩行運動を実施する場所、歩行運動を行う相手が異なる歩行環境条件を設定し、各条件下において歩行運動を実施した。行動観察およびアクティブトレーサーの結果をもとに、対象者にみられた生活行動をカテゴリー化し、それぞれの心拍反応について分析を行った。その結果、心拍数の反応では、同程度の数値を示している場合であっても、歩行環境条件によって交感神経および副交感神経機能の指標の反応が異なる傾向がみられた。歩行運動における心拍反応と生活行動における心拍反応の結果から、ボランティアや職員が1対1の関わりを行う状況下で副交感神経が有意となる傾向がみられたことから、認知症高齢者は、1対1の関わりにより、リラックスを得ることが推察された。今後、歩行運動前後の変化についての分析を行うと同時に、生活行動ごとの心拍反応の特徴についても検討を行うことにより、認知症高齢者の心拍反応に影響を与える要因について検討し、歩行運動がグループホームにおける日常生活のQOLに及ぼす影響について明らかにし、個々の認知症高齢者に適した歩行環境および支援方法について検討する。
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