2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730392
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
納戸 美佐子 Seinan Jo Gakuin University, 保健福祉学部, 講師 (40421325)
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Keywords | 認知症高齢者 / グループホーム / QOL |
Research Abstract |
本研究においては、歩行運動がグループホームにおける認知症高齢者の日常生活のQOLに及ぼす影響について検討した。認知症高齢者4名を対象に、歩行運動実施日の生活行動について行動観察を行うことにより、職員や他の入居者との関わりや日常の生活行動について詳細に記録した。同時に、アクティブトレーサーを用いて長時間の測定を行い、心電図のR-R間隔を計測し、スペクトル解析を行うことにより、交感神経および副交感神経の活動バランスについて評価した。また、歩行運動を行う環境の違いが認知症高齢者の行動的側面および心理面に及ぼす影響について検討するために、歩行運動を実施する場所(グループホームの周辺、商店または初めて訪れる場所)、歩行運動を行う相手(職員、ボランティア)が異なる歩行環境を設定し、各環境において歩行運動を実施した。行動観察およびアクティブトレーサーの結果をもとに、対象者にみられた生活行動をカテゴリー化し、それぞれの心拍反応について分析を行った。その結果、認知症レベルが重度である対象者1名は、グループホーム周辺を職員またはボランティアと歩行運動を行った時に、副交感神経機能の指標であるHFの値が高い傾向が示された。一方、認知症レベルが軽度~中等度である3名の対象者は、グループホーム周辺をボランティアと歩行運動を行った時にHFの値が高かった。また、運動強度の指標である心拍数と副交感神経機能の指標であるHFとの関連について検討した結果、心拍数が同程度であっても、歩行運動を行う歩行環境の違いによってHFの傾向が異なっていたことから、歩行運動を行う相手や場所が認知症高齢者に影響を与えていることが示唆された。本研究の結果、歩行運動を行う歩行環境によって、認知症高齢者の心拍反応に違いがみられたことから、認知症の重症度や特性に合わせた歩行運動の条件を設定し、実施することが重要であると考えられた。
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