2009 Fiscal Year Annual Research Report
未成年における精神障害に対する知識・意識に関する研究
Project/Area Number |
20730398
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
立森 久照 National Center of Neurology and Psychiatry, 精神保健研究所精神保健計画研究部, 統計解析研究室長 (60342929)
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Keywords | 精神障害 / リテラシー / スティグマ / 学校精神保健 |
Research Abstract |
本研究の目的は,未成年(中高生)における精神障害に対する知識・意識の現状を明らかにすることである。3年の研究期間で調査対象学校(高等学校)の協力を得て,それらの学校の生徒を対象に精神障害についての知識および意識を問う質問紙調査を無記名式で実施のための準備,調査の実施,調査結果の分析,および教育現場への成果のフィードバックを行う。本年度は3年間に渡る研究の2年目にあたり,本調査を実施した。 調査協力学校の教員および精神保健の専門家の協力を得て調査内容に過不足がないかを最終確認した。その上で,数名の大学生,高校生の協力を得てプレテストを数度実施し,主に本調査の対象者となる高校生でも内容が十分に理解可能かつ回答が容易な調査票であるかの観点から調査票の改訂を繰り返した。これにより調査票を確定することができた。 その上で調査への協力が得られた私立高等学校(普通科)の第1学年の生徒全員に調査への協力を依頼し,長期欠席や同意の得られなかった者を除く426名(回収率97.5%)の回答を得た。なお,調査は国立精神・神経センター倫理審査委員会の承認を得て実施した。大うつ病性についての仮想の事例(初発,未治療,医療的介入の必要性有り)を提示した後に,どんな状態だと思うか,転帰,適切な対処方法,専門家の援助の効果,情報収集先などについて質問した。事例の状態について,約8割は事例がこころの病気であると回答した一方で約1割はストレス状態で病気ではないと回答していた。また提示した事例と同様の経験有無を尋ねたところ,約4分の1がこれまでにあったと回答していた。これらは高校生に対する精神保健の知識の普及の必要性を示唆していると思われた。 来年度は同内容の調査を他校でも実施するとともに,学術的な成果の積極的な公開と教育現場への研究成果のフィードバックを行う予定である。
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