2010 Fiscal Year Annual Research Report
未成年における精神障害に対する知識・意識に関する研究
Project/Area Number |
20730398
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
立森 久照 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所精神保健計画研究部, 統計解析研究室長 (60342929)
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Keywords | 精神障害 / リテラシー / スティグマ / 学校精神保健 |
Research Abstract |
本研究の目的は,未成年(中高生)における精神障害に対する知識・意識の現状を明らかにすることである。本年度は3年間に渡る研究の3年目にあたり,昨年度に引き続いての本調査の実施と調査結果のまとめを行った。 当初の目標の1,000名規模のデータを得るために,本年度研究でも引き続き複数の中学校・高等学校に調査への協力を依頼し,1つの中学校と1つの高等学校から調査への協力が得られ調査を実施した。調査は国立精神・神経医療研究センター倫理審査委員会の承認を得て実施した。その結果,昨年度とあわせて1,184名の中高生から精神障害(大うつ病性障害)に対する知識・意識についての情報を得ることができた。大うつ病性障害についての仮想の事例(初発,未治療,医療的介入の必要性有り)に対して,約8割は事例がこころの病気であると回答した一方で約1割は特に問題がないもしくはストレス状態で病気ではないと回答していた。昨年度の調査では提示した事例と同様の経験有無を尋ねたところ,約4分の1がこれまでにあったと回答していたが,この傾向は今年度調査でも同様であった。これらは中高校生に対する精神保健の知識の普及の必要性を強く示唆していると思われた。調査に協力をいただいた学校には,以上の内容を含むその学校の調査結果をフィードバックした。 当初に計画した内容と規模で調査を完了し,中高生における大うつ病性障害に対する知識・意識の現状を明らかにできた。調査実施までの調整に予想よりも時間を要したことにより調査の終了が予定よりも遅くなったために,現時点で学術的な成果の公表ができていないことは反省点である。所属機関の倫理審査委員会にて調査機関の1年間の延長を申請し承認を受けたので,速やかな学術成果の公表に向けて準備を進めたい。
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