2009 Fiscal Year Annual Research Report
"男女平等の判断基準"からみた男女平等に関する合意形成の促進・妨害要因の分析
Project/Area Number |
20730402
|
Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
宇井 美代子 Tokyo University of Social Welfare, 心理学部, 講師 (80400654)
|
Keywords | 男女平等観 / 男女平等の判断基準 / ジェンダー / 合意形成 / 男女共同参画 |
Research Abstract |
現代においては、男女平等社会の実現に向けての施策が進められている。しかし、これまでの研究において、人々がどのような男女の役割状況を平等と捉えるかについては多様な考え方があることが明らかにされており、人々の合意を得ることは容易ではないことが示唆されている。そこで本研究では、男女平等に関する合意を形成していくプロセスを検討するための基礎資料を得るために、大学生・看護専門学生835名に対して、郵送法による質問紙調査を行った(有効回答者数154名(男性28名,女性126名;有効回収率18.9%)。質問紙では、(1)男女の役割について、他者と意見が対立したり、意見の差異を感じたりした経験と、(2)対立や差異を感じた時の対処の仕方とを、自由記述で回答するように求めた。得られた記述内容を、KJ法を用いて分析した結果、意見の対立・差異については、「男性優位・女性保護」、「伝統的家族観」、「社会でのあり方」の3つのカテゴリーに分類された。「伝統的家族観」はさらに、「家事」、「進路」の、「社会でのあり方」は、「身だしなみ」、「経済力」、「性格・志向・能力」、「外出・外泊」、「言葉遣い」の、サブカテゴリーに、それぞれ分類された。対処については、「肯定・受け入れ」、「否定」の2つのカテゴーに分類された。「否定」はさらに「受け流し」、「主張・話し合い」、「第三者への相談」、「拒否」、「関係解消」のサブカテゴリーに分類された。以上の事柄には、これまでに明らかにされた男性性や女性性を表わす次元やセクシズム研究において性差別的と捉えられてきた事柄と整合しているものも見られた。今後はさらにデータ数を増やして、男女の役割に関する意見が対立した際に、どのような対処が効果的であるのかを検討する必要がある。また、学生以外の成人などにおける対立や差異、また対処についても検討する必要がある。
|