2009 Fiscal Year Annual Research Report
総合的リスクマネジメントに対する社会心理学的アプローチ:災害リスクからの検討
Project/Area Number |
20730403
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
元吉 忠寛 Nagoya University, 大学院・教育発達科学研究科, 助教 (70362217)
|
Keywords | リスク認知 / 信頼 / 食の安全 / 道徳的関心 / 態度 |
Research Abstract |
本研究の目的は、リスク社会の中で人々が豊かに生きるために、個人レベル、社会レベルで、どのようにリスクを最適化(最小化)し、リスクとっきあっていくのかを、社会心理学的アプローチによって明らかにしようとするものである。本年度は、防災行動モデルを拡張し、リスク態度モデルを探索的に検討するために、日本と米国の大学生を対象として昨年度に実施した、牛海綿状脳症(BSE)と中国製輸入食品に対するリスク認知と購買行動意図に関するアンケート調査を分析し、学会で発表した。リスク事象として事件となった食品の購買意図には、不安という感情的な側面と、道徳的関心が影響を与えることが明らかになった。リスク認知よりも、感情的な不安が購買意図に強い影響を与えるという結果は、先行研究と一致していた。また、購買行動に対する道徳的関心が購買意図に影響を与えていることが確認された。このことから、これまで食品の選択に関しては、態度的な側面に着目することが多かったが、当該の個人が持っている、行動に対する道徳的関心も重要であることが示唆された。また、これまでに蓄積してきたBSEに対するリスク認知に関する縦断研究を取りまとめて学会で発表した。リスク認知や不安と言った感情的な側面は、事件発生直後には、購買意図の規定因として強い影響を及ぼすが、時間の経過と共にその影響は小さくなり、信頼や嗜好性の影響が強くなっていくことも示唆された。これらの結果を踏まえ、リスク態度モデルの変容過程について検討した。
|
Research Products
(5 results)