2009 Fiscal Year Annual Research Report
感情予測による災害認知・防災行動モチベーション変容の心理メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
20730412
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Research Institution | Tokai Women's University |
Principal Investigator |
野田 理世 Tokai Women's University, 東海学院大学人間関係学部, 助教 (90425140)
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Keywords | 社会的認知 / 感情 |
Research Abstract |
本研究の目的は,防災意識の低い人に対して,地震災害が生じた場合の未来の感情反応を予測させることで,現在の地震災害に対する認知がどのような影響を受けるのかを検討すること,及び地震災害に対する認知変容を介して,防災行動に対するモチベーションがどのような影響を受けるのかを検討することである。本年度は,(1)未来の架空の地震災害に伴う感情反応の予測が,防災行動に対する動機づけに対してどのような影響を及ぼすのかを検討した。また,(2)特に防災意識が低い人に焦点を絞り,地震災害に伴う感情反応の予測が,防災意識の低い人が持つ防災行動動機づけにどのような影響を及ぼすのかを分析した。(1)については,感情反応の予測を行うことで防災行動に対する動機づけが高くなることが明らかとなった。また,(2)については,実験参加者がもともと持つ防災意識の強さを変数として投入して分析を行った結果,防災意識が低い実験参加者であっても,災害に伴う感情を予測することで防災行動動機づけが高くなる可能性が示唆された。このように,防災に対する意識が低い人であっても,災害に伴う感情反応を予測させることで,防災行動に対する動機づけが高くなったため,彼らが普段行っている防災行動を改善する可能性を示唆する結果が得られた。これらの結果については,11th Society for Personality and Social Psychology学会(於:ラスベガス)で報告を行った。ただし,今回の実験では,実験参加者間で感情予測の強さにばらつきがみられたため,これらの点を新たに調整する必要性が見出された。
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