2010 Fiscal Year Annual Research Report
素朴なスピリチュアリティ的信念とそれが健康や人間性に及ぼす影響に関する学際的研究
Project/Area Number |
20730413
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Research Institution | University of East Asia |
Principal Investigator |
具志堅 伸隆 東亜大学, 人間科学部, 准教授 (10449910)
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Keywords | スピリチュアリティ / 宗教 / 自尊感情 / 主観的幸福 / 摂理 / 不確実性 / 公正な世界 / 超自然的現象 |
Research Abstract |
過去2年間の研究により、素朴なスピリチュアリティ的信念を構成する概念が分類され、それを測定する尺度も仮完成した。それを用いた量的調査によって、スピリチュアリティ的信念が自尊感情と正の関係があることも明らかとなった。 22年度は過去2年間の成果に基づき、それを以下の点で改良・発展させる研究を行った。(1)尺度の簡略化:調査を実施する中で、尺度に用いた文章表現の難しさや、文章の長さ、項目の多さから、回答者に過度の負担がかかるという問題点が指摘された。回答者の負担を軽減するため、質問項目の内容を簡略化・整理した簡略版尺度を作成した。(2)スピリチュアリティ的信念が精神的健康に及ぼす影響をさらに検討するため、自尊感情に加え、主観的幸福感を測定し、スピリチュアリティ的信念との関係を検討した。 21年度に引き続き、量的調査を実施し、因子分析を行ったところ、「魂の永続性」、「輪廻」、「神の守護」といった因子の他、「人生が"超自然的な力"によって秩序づけられている」こと、「その力は公正であり、正しいことを行う人間に幸せをもたらす」ことを意味する内容の項目群からなる「摂理」因子が抽出された。重回帰分析の結果、これら4因子のうち、「摂理」因子が主観的幸福感や自尊感情に特に強い正の関係にあることが明らかとなった。 以上の研究によって、素朴なスピリチュアリティ的信念を構成する要素として、「霊魂の存在」や「輪廻」、「神の守護」といった宗教的な意味合いの濃い概念だけでなく、超自然的な力がもたらすこの世の「摂理」に対する信頼が重要な働きを果たしていることが明らかとなった。 総合すると、スピリチュアリティ的信念を構成する概念を整理し、それを測定する尺度を作成し、精神的健康との関係を明らかにしようとする本研究の目的はほぼ達成できたと言える。
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Research Products
(3 results)