2009 Fiscal Year Annual Research Report
集団プロセスの相違に応じた適切な協調作業支援システムの検討
Project/Area Number |
20730416
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Research Institution | NTT Communication Science Laboratories |
Principal Investigator |
松田 昌史 NTT Communication Science Laboratories, メディア情報研究部, 研究員 (60396140)
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Keywords | 集団作業 / 合議 / 遠隔地間共同作業 / 実験研究 / 交渉 |
Research Abstract |
本課題は、集団協調作業支援システムを社会心理学的に評価し、将来の技術開発や産業の発展に貢献することを目指す。この目的のため、本年度は遠隔地間コミュニケーションシステム利用時と対面状況とを比較し、集団合議に与える影響について実験室実験で検討した。 実験では、3人一組の参加者グループのべ72組を用いた。グループに3つの選択肢を与え、合議の後に全員一致で一つを選ぶという交渉課題を行わせた。課題では各参加者の3つの選択肢に対する選好は互いに矛盾しており、交渉によって自分の意見をグループに認めさせることが必要であった。決定内容に基ついて、参加者には参加ボーナスが支払おれた。ただし、全ての選択は理論上等価であり、どれが選ばれるかはチャンスレベルとなるよう操作されていた。1要因3水準の条件を設置した。(1)対面条件では、全員が同室で120cmの正三角形の頂点の位置に参加者を着席させた。(2)方向なしビデオチャット条件では、参加者を異なる実験室に入室させ、PC画面上のビデオチャットを用いて課題を行わせた。画面上には他参加者の胸がら上の正面映像が左右に配置されていた.(3)方向ありビデオチャット条件も参加者を異なる実験室に入室させたが、対面条件と同じ座席配置になるよう、遠隔地の参加者が本来いるであろう位置に大型ディスプレイを設置し、そこに等身大映像を投影した。この条件では、参加者の顔の向さや視線方回などを利用することができた。 実験の結果、対面条件では全ての選択肢が理論予測通り当確率で選択されていたのに対し、遠隔地間ビデオチャット利用した条件では撰択肢に偏りが観察された。特に、偏りの万同として、方向なしビデオチャット条件では、平等的決定よりも競争的決定が選はれやすいという傾向があった。このことから、対面状況における対人位置を再現するようなディスプレイ配置を用いたシステムの方がより自然な集団状況を作り出すと考えられる。
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