2010 Fiscal Year Annual Research Report
教師の生徒との関係における悩みと教師の成長・発達およびその支援策についての研究
Project/Area Number |
20730419
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Research Institution | Heisei International University |
Principal Investigator |
都丸 けい子 平成国際大学, 法学部, 講師 (40463822)
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Keywords | 教師と生徒の人間関係 / 初任期の教師の悩み / 女性教師の悩み / 教師の成長・発達 / 修正版グラウンデッド・セオリー |
Research Abstract |
本年度は,教師と生徒との関係における悩みと教師の成長・発達において,特に特徴の認められた初任期の教員および女性教員に焦点を当て,一昨年度から継続的に行っているインタビュー調査の結果をまとめた.第1に,初任期の教員に関しては,直面した困難が教師キャリアの側面からどのような意味を有しているのか.またその悩みを抱えていく過程について検討を行った.初任期における生徒との関係における悩みは,理想像・責任感と現実(余裕のなさ)との葛藤から生じることが明らかとなった.その背景には「教師という立場確立への模索」があり,同僚や初任期特有の自己像からの支えのもと,1年間「乗り切ること」で,初任期における成功・失敗体験は2年度以降の「課題」として成長・発達に寄与する様相が認められた.このように,悩み経験をもとに初任教師が自分なりのスタイルを形成していくことが明らかとなり,この結果は一昨年度に作成したモデルに沿って説明可能であった.第2に,女性教師に関しては,生徒の性差による関わり方の相違,「母親的」役割の付与,女性特有のパーソナリティを背景とする「感情的」「こまかさ」等が悩み経験に含有される特徴として見出された.さらに,女性教師は人間関係への過敏さから,ネガティブな側面は悩みへ,ポジティブな側面は悩みへの支えとして影響することも明らかとなった.上記の様相もまた,一昨年度に作成したモデルに沿って説明が可能であった.以上の結果を踏まえ.初任期の教員に対しては特に教師としてのアイデンティティを確立させるような支援が.一方,女性教師に対しては人間関係を基盤とした支援のネットワーク形成が,悩みから成長・発達へつながるキーとなっていることが提言された.本研究の結果より,悩みを契機とした成長・発達のモデルの有効性が再確認されたとともに.特定の対象群に対してモデルはより精査されたといえる.これらの結果に関しては,2つの学会でポスター・口頭・シンポジウムにて発表を行った.
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