2010 Fiscal Year Annual Research Report
高等学校への適応的移行を実現するための主体的進路意思決定支援モデルの構築と実践
Project/Area Number |
20730420
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
永作 稔 駿河台大学, 心理学部, 准教授 (20447246)
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Keywords | 進路指導 / 自己決定理論 / 中学生 / 高校生 / 進学動機 / 進路選択 / 学校移行 |
Research Abstract |
本研究は高等学校への適応的移行を実現するための主体的進路意思決定支援モデルを構築し、学校現場において進学動機を主体的なものに変化させるための実践的プログラムの開発を行うものである。モデルの構築および検証と、中学生を対象とした進学動機の内在化プログラムおよびその教材を開発することを目的としている。3年間の研究期間の最終年度(3年目)にあたる22年度は、高校生を対象とした縦断研究を中心に実施した。その結果、主体的な高校進学動機をもつ生徒は、入学後の5月、10月の適応感が高いことが示された。また、入学時に多くのストレッサーに曝されることが、不適応感を高めることが示唆された。さらに、高校進学動機の主体性(自律性)の低さは高等学校入学後のストレッサーに曝される危険性を高めることが明らかになった。したがって、主体的な進学動機を持つ生徒は入学後にストレッサーに曝されることが相対的に少なく、反対に、主体的ではない進学動機を持つ生徒は入学後に多くのストレッサーに曝されるリスクがあることが示された。以上から、中学校から高等学校への適応的な移行に関して包括的な枠組みを提供するモデルが構築されたと考えられる。 一方、中学生を対象とした進学動機の内在化プログラムについては、前年度に実施した内容を検証し、教材とプログラム内容の精選を行った。その結果、この内容であれば中学校3年生ではなく2年生に実施したほうが良いかもしれないという示唆が得られた。 以上の結果は、自己決定理論の国際学会である4th International SDT Conferenceおよび国内学会の日本教育心理学会52回総会にて発表した。
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