2008 Fiscal Year Annual Research Report
小中学生のいじめ防止に向けた妬み感情とシャーデンフロイデの喚起メカニズムの解明
Project/Area Number |
20730421
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
沢田 匡人 Utsunomiya University, 教育学部, 准教授 (40383450)
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Keywords | 妬み感情 / シャーデンフロイデ / 中学生 / 小学生 / いじめ加担経験 / いじめ容認態度 / いじめ排斥態度 / 社会的望ましさ |
Research Abstract |
本研究の目的は, 小中学生における妬み感情及びシャーデンフロイデと, いじめを代表とする攻撃行動に対する意識との関係を解明することによって, いじめの予防と介入に役立つ研究成果を得ることにあった。 まず, 中学生約300名を対象として, 社会的に望ましい反応に敏感に回答する傾向(社会的望ましさ)が混入することを見越した質問紙調査を実施した。質問紙は, いじめに対する態度(いじめを容認あるいは排斥する態度や, 過去一年間にいじめに加担した経験)を測定する尺度と, いじめとは関連のない仮想場面における妬み感情とシャーデンフロイデを測定する尺度から構成されていた。社会的望ましさによる影響を取り除いた解析を通じて, いじめに対する態度に直接関連しているのは, 妬み感情というよりはむしろシャーデンフロイデであることが示唆された。また,シャーデンフロイデにはいじめを容認する態度を高める効果があることもわかった。 同様の傾向は, 約200名の小学生を対象に実施された調査でも確認されたが, 妬み感情とシャーデンフロイデの組み合わせが排斥態度を低める影響については, 学年が上がるにつれて高まることが明らかになった。こうした研究は, 小中学生におけるシャーデンフロイデという感情といじめとの関連性を示す貴重なデータであると判断でき, その成果を日本心理学会第72回大会(北海道大学)や日本発達心理学会第20回大会(日本女子大学)などで順次発表した。
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