2010 Fiscal Year Annual Research Report
小中学生のいじめ防止に向けた妬み感情とシャーデンフロイデの喚起メカニズムの解明
Project/Area Number |
20730421
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
沢田 匡人 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (40383450)
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Keywords | 妬み感情 / シャーデンフロイデ / 復讐心 / 小中学生 / いじめ加担経験 / いじめ排斥態度 / 大学生 / 社会的望ましさ |
Research Abstract |
本研究の目的は,妬み感情及びシャーデンフロイデと,小中学生におけるいじめに対する意識との関係の解明を通じて,いじめの予防と介入に役立つ研究成果を得ることにある。今年度は小中学生だけではなく高校生も含めた約3000名を対象とした大規模な質問紙調査を実施した。質問紙は,過去にいじめに加担した経験やいじめを容認する態度,ならびに規範意識を測定する尺度などから構成された。解析の結果,いじめ加担経験は高校1年まで上昇傾向にあること,中学生においては、教師及び仲間と共有された規範意識は相互に影響し合って容認態度を低める働きを有することなどが明らかにされた。これとは別の中学生約400名を対象とした調査では,学校生活満足度の時系列的な変化によって生徒を類型化し,特性妬みの対処方略選択プロセスを検討した。さらに,小中学生のいじめを排斥する態度といじめに加わる傾向との関連を明らかにするための調査では,いじめに加担した経験の有無と,いじめに遭遇した際に喚起される感情のパターンに応じて,規範意識がいじめ加害傾向を抑制する効果に違いがみられた。加えて,いじめの加害と看過に関する基礎的な知見を得るために,大学生の量刑判断に及ぼす復讐心の働きに着目した調査も実施したところ,復讐心の抱きやすさが量刑の厳罰化を促進する可能性が示唆された。以上の研究成果の一部は,日本心理学会第74回大会(大阪大学)や日本パーソナリティ心理学会第19回大会(慶応義塾大学)などで順次発表された。
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