2008 Fiscal Year Annual Research Report
災害後の子どもへの支援に関する中・長期的な教育相談体制の検討
Project/Area Number |
20730423
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小林 朋子 Shizuoka University, 教育学部, 准教授 (90337733)
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Keywords | 災害 / 教育相談体制 / 外傷後ストレス障害(PTSD) / 心のケア / 中・長期 / 教師 |
Research Abstract |
本研究では、災害発生から5年以上が経過した中・長期的な時間的側面をふまえて、(1)災害発生後5年以上経った子どもの心身の変化について、(2)子どもの心身の現れに対する教師の捉え方や支援内容との関連について、(3)再度の震災および教師の人事異動等による学校体制の変化について、(4)災害後の教師の精神健康と外傷後ストレス障害(PTSD)の状態、について明らかにする。この研究により、災害直後から約6年間にわたる中・長期的な学校での子どもへの支援体制に関するモデルを提示することを目的としている。平成20年度は、新潟県・中越地震で被害が大きかった学校に勤務する教師(管理職、担任教師、養護教諭など)を対象とした面接調査、そして中越地域に勤務する小・中学校教師1954名を対象とした質問紙調査を実施した。面接調査では、4年を経た段階における子どもの心身の変化やその支援内容について尋ねた半構造化面接を行った。その結果、子どもの保護者が地震後から引き続き不安定な状況が続いていたり、経済的に厳しくなった家庭において子どもの心身の不安定さが残っていることが明らかになった。また、4年以上経過した段階では教師にとって子どもの心身の変化が地震の影響によるものなのかを判別することが難しいことも示された。次に質問紙調査では、子どもの心身の変化、その変化にとまどった経験、学校における支援体制や教師へのサポート等について回答を求めた。さらに教師自身に関しては、うつ病・不安障害のスクリーニング尺度K10質問票日本版(Kesseler, et al., 2002 ; 川上ら, 2004)と、心的外傷性ストレス症状を測定するための改訂出来事インパクト尺度IES-R(飛鳥井ら, 2002)を用いて尋ねた。その結果、被災経験のある教師の中に、地震によるPTSD症状が見られる教師がいることが示された。また精神健康に関する調査項目に関しては、被災地ではない地域の学校に勤務する小中学校教師のデータとの比較を行っており、現在解析中である。
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Research Products
(4 results)