Research Abstract |
本研究の目的は,フォーマル・インフォーマルな学習におけるノートテイキングプロセスの分析・および支援方法の検討である。平成22年度はフォーマルな学習場面における,授業やノート作成のメディアの違いが,学習者の信念や行動にどのように影響するのかを検討した。 ・授業やノート作成におけるメディアの違いが学習者の信念に与える影響 授業メディア(スライド,板書,配布資料)とノートメディア(電子的,手書き)によって,ノートを取る内容や目的,ノートを取る際の方略使用(色,下線,図や表,箇条書き,囲み,矢印,文字の強調,レイアウト)がどう変わるかについて質問紙調査を実施した.学部生49名を対象とした調査の結果,(1)授業メディアの違いは,ノートを取る内容や目的にほとんど影響しないこと,(2)ノートメディアによって使用するノートテイク方略が変わることが明らかになった。 ・授業やノート作成におけるメディアの違いが学習者の行動に与える影響 授業メディアとノートメディアの違いによって,学習者のノート取り行動がどのように変化するのかについて実験を実施した。学部生52名を授業メディア(スライド,板書)とノートメディア(電子的,手書き)を組み合わせた4つのグループに分け,心理学のトピックに関する授業を実施した。授業の前後には理解度テストを行った。実験の結果,(1)授業メディアによる違いとして板書の方がノートテイク方略を多く使用していること,(2)ノートメディアによる影響として手書きの方が理解度テストの得点が高く,ノートテイク方略の使用も多いことが明らかになった。
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