Research Abstract |
本年度は, 小学校特別支援学級に在籍する自閉症児4名の相互作用について, 縦断的な観察を1年間・計10回おこなった。その結果, 以下の事実が明らかになった。(1) 年長者の自閉症児(小6)が, 年少者の自閉症児(小2)に, 自発的に学習を教える行為がみられたこと, (2) その際, 年長の自閉症児が解き方を実際に見せるだけでなく, 言語でヒントを出したり, ほめたりするなど言語レベルでのより高次な教示行為がみられたこと, (3) ただし, このような教示行為の頻度は, 毎時間の授業でみられるわけではないこと, (4) 年少の自閉症児(小2・小3)は, 年長の自閉症児(小6, 2名)の授業中にみられる特定の発話や身振りを自発的に模倣し, それが子ども全員に「ブーム」として定着することが9月以降みられるようになった。 以上のことから, 自閉症児同士においても, 教示行為は成立するが, 知識・技能の伝達まで至るほど量的には多いわけではなく, 自発的に年長者の行為を模倣することでクラス内での知識・技能が定着することが明らかになった。以上の結果について, 来年度以降の学会で発表し, 論文としてまとめる予定である。
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