2010 Fiscal Year Annual Research Report
教示行為による知識・技能の伝達過程の発達と障害:健常幼児と発達障害児の比較から
Project/Area Number |
20730426
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
赤木 和重 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (70402675)
|
Keywords | 教示行為 / 発達障害 / 自閉症 / 教育実践 |
Research Abstract |
本年度は,教育実践のなかで,発達障害児同士がどのように教示行為を行うのか,そして,教示行為を引き出すには,どのような支援が求められるのかについて,縦断的に観察したビデオをもとに分析・執筆を行った。観察対象児は,小学校・特別支援学級に在籍する知的障害のある自閉症児童4名であった。観察期間は,2年間であった。 分析の結果,次の2点が明らかになった。1つは,社会性に障害があるとされる自閉症児においても,教示行為が見られることであった。とくに発達的に2歳代の自閉症児においても,情報提供的な側面が中心ではあるが,教示行為が生起した。2つは,ただし,自閉症児の教示行為を引き出すには,意図的な支援が必要であることも明らかになった。具体的には,子ども同士で「教える-教えられる」関係が生起するように,授業内容をパターン化したり,子どもが他の子どもに教えやすいように教材・教具を工夫したりするなどの支援が重要であった。 これらの知見を含めた研究成果を,観察対象であった特別支援学級の担任(村上公也氏)と共同で,『キミヤーズの教材・教具:知的好奇心を引き出す(DVD付)』(クリエイツかもがわ)という本を出版した。
|