2011 Fiscal Year Annual Research Report
認識論的メタ認知と批判的思考の関連性に関する文化比較研究
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20730427
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
C・F MoisesKirk 京都外国語大学, 外国語学部, 准教授 (50467411)
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Keywords | メタ認知 / 認識論 / 学習過程 / 批判的思考 / 第二言語取得 / 信念 |
Research Abstract |
教育の目的の1つは、あらゆる情報(自分の知識を含む)に対して批判的な思考を働かせて分析する習慣を促進することである。批判的思考とは、物事を客観的かつ多面的、多角的に捉え、基準に基づいて判断する思考を指す。先行研究によると、この批判的思考行動の様々な側面をよりよく説明するためには、従来のメタ認知の概念を拡大した「認識論的メタ認知」を用いるのが望ましいことが示唆されている。 本研究では認識論的メタ認知の国際比較を行ってきた。具体的には、3年間にわたって、Carvalho・楠見(2006)の4因子構造のモデルを用いて日本・フィリピン・ブラジルの大学生の認識論的メタ認知が批判的思考とどのように関連しているのかを検討してきた。そして、23年度には、実際の教育場面で学生の第二言語取得に関する信念と学習成績が認識論的メタ認知や批判的思考とどのように関連しているのかを検討した。 京都外国語大学の学生を対象にしてデータ収集を行った。因子分析の結果によると、学生の第二言語学習に関する信念は次のように分類できる:1.「伝統的なオリエンテーションを促進する信念」、2.「現代的(コミュニケーション中心)なオリエンテーションを促進する信念」、3.「外国語を学ぶ資源の質に関する信念」、4.「外国語を学ぶための必要な取り組みに関する信念」、5.「外国語学習を促進する行動に関する信念」。重回帰分析の結果によると、認識論的メタ認知や批判的思考の得点が高い学生ほど成績が優れており、第二言語学習の際「現代的なオリエンテーション」と「外国語学習を促進する行動」をより支持していた。一方、批判的思考の得点が低い学生ほど成績が低く、第二言語学習の際「伝統的なオリエンテーション」をより支持することが分かった。
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