2009 Fiscal Year Annual Research Report
健常乳幼児及び発達障害児における役割交替模倣と自他意識の発達
Project/Area Number |
20730431
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
川田 学 Kagawa University, 教育学部, 准教授 (80403765)
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Keywords | 役割交替模倣 / 自己鏡映像認知 / 積極的教示行為 / 自他関係認識 / 乳幼児 / 自閉症 |
Research Abstract |
平成21年度は,役割交替模倣と自他意識の発達的な連関性について,健常乳幼児と発達障害児との比較検討を通して検討した。まず,保育所に通う1歳半~2歳半の健常幼児約50名対象とし,役割交替模倣第二水準(RRI-II)を測定するサカナとタモ課題,自己鏡映像認知を測定するマーク・テスト,他者への積極的教示行為を測定する他者の課題解決困難場面呈示課題をそれぞれ実施した。その結果,平成20年度の結果と同様に,RRI-IIが可能となるのは1歳代終わりから2歳にかけてであり,またRRI-IIに通過する幼児は他の2種類の自他認識課題にも通過する傾向があることが示された。 また,健常幼児と同様の課題を特別支援学校幼稚部に在籍する9名の自閉症をもつ幼児に対しても実施した。結果として,RRI-IIに通過する幼児は,他の2種類の自他認識課題にも通過する傾向があることが示された。ただし,視覚優位性や多動傾向といったしょうがい特性によって課題への取り組み方にバリエーションがあることがうかがわれた。すなわち課題への「理解」が,実際の行動となって「運用」される一連の流れに,健常幼児に比して困難がある可能性もある。 特に3名の自閉症をもつ幼児については,4か月程度の間隔で繰り返し課題を実施した結果,3つの課題への遂行水準が連動して発達変化していく傾向にあった。こうした実験課題場面での変化は,参与観察による教師-子ども間,子ども同士の対他意識における変化とも関連しているものと思われた。
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Research Products
(4 results)