2009 Fiscal Year Annual Research Report
「学校に行きたくない」と感じながら登校する児童生徒の状態像に応じた援助方法の解明
Project/Area Number |
20730432
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
五十嵐 哲也 Aichi University of Education, 教育学部, 講師 (90458141)
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Keywords | 不登校傾向 / 時間的変化 / 学校生活スキル / ソーシャルサポート / 中一ギャップ |
Research Abstract |
「学校に行きたくない」という感情が、小学校から中学校へかけてどのように変化するのか。そして、その感情の変動に影響する要因は何か。この点を明らかにするため、平成20年度に小学校を卒業し、平成21年度に中学校へ入学した生徒に対し、小学校在籍時からの追跡調査を実施した。 その結果、小字校から中学校にかけて「別室登校を希望する不登校傾向」が増大した者は、小学校での集団活動・課題遂行の各スキル,中学校での自己学習・集団活動・健康維持の各スキルが低かった。「遊び・非行に関連する不登校傾向」が増大した者は、小学校での集団活動・課題遂行・健康相談の各スキル、中学校での自己学習・進路決定・集団活動・健康維持の各スキルが低かった。「精神・身体症状を伴う不登校傾向」が増大した者は、小学校での自己学習・課題遂行の各スキル、中学校での自己学習・健康維持・コミュニケーションの各スキルが低かった。「在宅を希望する不登校傾向」が増大した者は、小学校での自己学習・課題遂行・健康維持の各スキル、中学校でのあらゆる学校生活スキルが低かった。この結果から、「学校に行きたくない」感情の変動には、心理的側面だけではなく、学習、集団生活上の基本的ルール等の影響も大きいことが示唆された。また、ソーシャルサポートとの関連性を検討したところ、中学校で友人を中心としたソーシャルサポートが増加することで、「精神・身体症状を伴う不登校傾向」「在宅を希望する不登校傾向」を低減させる可能性が示唆された。これらの成果は、現在問題となっている中一ギャップ現象の改善に貢献するものである。 以上の結果をさらに進展させるため、平成21年度の一年間にわたり、約3,000名の小中学生に対する「学校に行きたくない」感情の変化を追跡調査した。現在、最終調査が実施されたところであるため、今後分析を実施していく。
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Research Products
(6 results)