Research Abstract |
本究の目的は, 「注視・傾聴」行動を中心とした児童の積極的授業参加行動の様相をより具体的に明らかにし, 児童を授業に積極的に参加させるための介入プログラムを提案することである。そのため, 20年度の研究実施計画として, (1)授業場面の観察を通した「注視・傾聴」行動の分析, (2)「注視・傾聴」行動と動機づけに対する児童の認識の調査の2つの計画を立てた。(1)に関しては, 公立小学校4年生の1学級を対象として, 約半年間, 週1回程度の授業観察を行い, 積極的授業参加行動の変化についてビデオ録画による記録を取った。また, 対象学級の児童の自己評定と担任教師による評定の対応を質問紙調査によって検討した。行動分析および質問紙調査の結果の分析から, 児童の積極的参加行動の変化を明らかにすることにより, 教育現場への提言ができると考えられる。また, 特に「注視・傾聴」行動の多い児童と少ない児童の特徴を明らかにし, 両者の比較を行うことにより, 「注視・傾聴」行動を促進する要因・阻害する要因の検討を詳細に行っていく。(2)の計画については, 小学3年生から6年生435名を対象とした質問紙調査を実施し, 学年による積極的授業参加行動の変化, また, 学習に対する目標や動機づけ, コンピテンスとの関連について検討を行った。その結果, 加齢に伴って減少する行動, 学年による差は顕著ではないが, 男女差が見られる行動など, 積極的授業参加行動に含まれる構成要素によって学年, 性別の特徴があることが明らかとなった。さらに, 学習目標やコンピテンスと積極的授業参加行動の関連についても, 学年によって関連の仕方が異なることが得られた。これらの結果は, それぞれの学年の特徴を踏まえた指導の在り方を検討する上で有益な知見をもたらすことができると考えられる。
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