2008 Fiscal Year Annual Research Report
青年後期から成人初期にかけてのアイデンティティの揺らぎと両親間不和に関する研究
Project/Area Number |
20730435
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
宇都宮 博 Ritsumeikan University, 文学部, 准教授 (10320152)
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Keywords | 青年後期 / 成人初期 / アイデンティティ / 両親間不和 / 結婚イメージ |
Research Abstract |
本研究は、青年後期から成人初期にかけてのアイデンティティ発達の文脈として、両親の夫婦関係に着目するものである。とくに両親間不和に関する成人子の認知を中心に検討する。本年度は、開始年度であったことから、はじめに関連研究の動向と問題の所在を明らかにする目的で理論的検討を行った。その結果、成人子を対象とする両親間不和の研究が非常に少なく、とくにアイデンティティ研究においては皆無に等しい状況であることが見出された。また、潜在的な葛藤をとらえる上で、父母双方の結婚生活に対するコミットメントの質に着目する必要性が示唆された。 本年度では、青年後期および成人初期に位置し、かつ両親が結婚生活を継続している独身の子どもにおいて、両親の結婚生活に対するコミットメントと表出されている葛藤およびそれへの巻き込まれが、アイデンティティ発達や結婚に対するイメージにどのような意味を有しているのかを計量的に探ることとした。対象者は大阪府、京都府、兵庫県在住の20代、30代(学生を除く)の男女計509名であった。調査はインターネットにより実施された。分析を通して、いわゆる家族システムから巣立ったとされる立場においても、両親の不和に胸を痛めている子どもが少なからずいることが確認された。そして、父母のコミットメントが自発的でない場合や、両親間葛藤に巻き込まれている場合に、アイデンティティ発達および結婚に対するイメージに否定的に作用している可能性が示唆された。
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