2008 Fiscal Year Annual Research Report
児童生徒の諸特性を学校の教育環境との関連で把握するマルチレベルモデルの開発
Project/Area Number |
20730440
|
Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
萩原 康仁 National Institute for Educational Policy Research, 教育課程研究センター基礎研究部, 研究員 (30373187)
|
Keywords | マルチレベルモデル / 階層データの分析 |
Research Abstract |
本研究は、その多くが学校-学校内の学級-学校内の学級内の児童生徒というような、階層的な構造になっている教育調査データに対して、仮説に応じたマルチレベルモデルを構成し、分析を行うことによって、児童生徒の諸特性と広義の教育環境との間の関連性を把握することを主として目指したものである。 教育課程に基づいた学習の実現状況を把握することを目的としたテストによる大規模な標本調査では、受検者である児童生徒は、学校(あるいは学級)という集団に属する個人として抽出されることがある。また、このような調査では、すべてのテスト項目について履修済みであることが仮定できない場合、個々の項目の履修状況についての情報が教師から得られることがある。このような調査のデータは、児童生徒のテストの解答部分は集団に属する個人レベルのものであり、教師の履修状況の回答部分は集団レベルのものである点で、階層的なものである。 本研究では、このデータの階層性と履修状況の両方を考慮した2段の項目反応モデルを挙げた。また、このモデルの母数の推定法を概説し、シミュレーションにより母数の復元状況を確認した。さらに、上記のような構造をしている実データセットを分析した。この結果、このデータセットでは、履修の有無によって潜在的な特性値の高低が説明されるというよりは、多くの項目で、履修していない学級は履修している学級に比べて、特性値が同程度でも正答することは難しいことが示唆された。
|