2009 Fiscal Year Annual Research Report
認知行動的介入による気晴らしの接近的活用に関する臨床健康心理学的研究
Project/Area Number |
20730461
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
及川 恵 Kyoto University, 高等教育研究開発推進センター, 准教授 (60412095)
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Keywords | 気睛らし / 認知行動的介入 / 心理教育 |
Research Abstract |
本研究全体の目的は,自らの問題や情動と適切な距離をとるための自己制御の試みとして,気晴らしを接近的に活用するための予防的介入法を開発することである。そのために,気晴らしの活用に関する基礎的研究や情報収集を行うとともに,心理教育プログラムを構成し,大学生を対象とした実践研究を行う。 本年度は,気晴らしを効果的に活用するために重要となる要因を整理し,試験的な心理教育プログラムを実施,効果を検討することを目的とした。 まず,前年度に行った,気晴らしの日常的な活用状況やその影響に関する調査から,ネガティブ気分による効果的な気晴らし活動の差異,肯定的情動や問題解決行動を促進する要因などについて示唆が得られた。これらの知見も踏まえて,大学生を対象とした短期の試験的な心理教育プログラムを考案した。 心理教育プログラムでは,気晴らし方略を効果的に用いるために必要な認知行動的な知識や対処スキルを取り上げる講義やグループワークを実施した。教育効果を検討するために,各回の理解度や適応指標の変化を検討した結果,気晴らしやストレス対処に関する自己効力感や気晴らし活動の多様性について概ね肯定的な変化が見られた。本年度後半には,認知行動的なアプローチが盛んであるイギリスの大学の学生相談において提供されているグループワークに関する調査を行い,自尊心の向上や抑うつを対象とした予防的プログラムの実践に関して重要な示唆が得られた。
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