2009 Fiscal Year Annual Research Report
治療抵抗性うつ病患者の心理・社会的機能障害の実態把握と心理学的介入に関する研究
Project/Area Number |
20730463
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Research Institution | Hijiyama University |
Principal Investigator |
松永 美希 Hijiyama University, 比治山大学, 講師 (60399160)
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Keywords | 臨床心理学 / うつ病 / 心理社会的機能 / 認知行動療法 / 効果研究 |
Research Abstract |
21年度は、薬物治療抵抗性うつ病患者12例(男性3例、女性9例、平均年齢32.8±8.2歳)を対象に、集団認知行動療法の効果を検討するため、通常治療(Time1)、集団認知行動療法前(Time2)、集団認知行動療法終了時(Time3)の全3回にわたって質問紙調査を実施した。各回の間隔は、約12週であった。集団認知行動療法は、Beckら(1979)をもとに、心理教育セッション2回と治療セッション10回計12回から構成され、各90分、週1回実施された。なお、研究参加については広島大学医学部倫理委員会の基準に基づいて、文書による同意を得た。 抑うつ症状(BDI)について測定時期(Time1~3)を要因とするANOVAを行った結果、時期の効果が有意であり(p<.01)、Time3の得点はTime1よりも有意に減少していた(p<.05)。またTime2とTime3との差が有意傾向であった(p<.10)。社会的機能(SF-36)についても同様に時期を要因とするANOVAを行った結果、8下位尺度のうち、RP(日常機能精神)、VT(活力)、MH(心の健康)について、測定時期の効果が有意であった(p<.01)。下位検定の結果、MH(心の健康)は、Time3の得点がTime2よりも有意に高くなっていた。 さらに、非機能的認知(DAS、ATQ-R)のANOVAの結果も時期の効果が有意であった(それぞれp<.05)。DASについては、Time3の得点はTime1、2よりも低下していた(それぞれp<.10)。またATQ-Rのnegative scaleについて、Time3の得点はTime1、2よりも有意に低下していた(それぞれp<.05)。 以上の結果から、通常治療期間中は抑うつ症状や社会機能、非機能的認知の変化は乏しかったが、認知行動療法後にはそれぞれの改善が認められた。
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Research Products
(3 results)