2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730464
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Research Institution | University of East Asia |
Principal Investigator |
藤原 裕弥 東亜大学, 人間科学部, 准教授 (20368822)
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Keywords | 社会不安 / 潜在的態度 / 視線追跡 |
Research Abstract |
Clark & Wells(1995)は、社会不安者が社会的状況にさらされると、想定の活性化が生じ、その結果他者の表情などの社会的刺激を脅威として知覚すると述べている。これは、社会的状況において対人不安者の潜在的態度が活性化する結果、刺激の認識に影響を与える可能性を示唆している。そこで本研究では、対人不安者の潜在的態度と表情認識の関係性について検討することを目的とした。参加者に実験後面接を行うことを告げ、対人不安を喚起した。その後、Sasakiら(2010)を参考にIAT(implicit association test)を用いて社会不安者の刺激語に対する潜在的態度を測定した。具体的には、不安反応と否定的評価、リラックス反応と肯定的評価からなるカテゴリー同士の組み合わせを画面上に呈示し、いずれかのカテゴリーに属する刺激語を提示した。参加者は、提示された刺激語のカテゴリーをボタン押しによって回答するよう求められた。組み合わされるカテゴリーが記憶内で結びついていれば、刺激語のカテゴリー判断が速くなる。続いて、表情刺激(怒り表情、中性表情)を5秒間呈示し、表情呈示中の視線運動を視線追跡装置によって測定し、視線軌跡距離、注視時間を算出した。 IATで得られた反応時間から群ごとにIAT scoreを算出し、t検定を行ったところ、高社会不安群が低社会不安群よりも得点が高い傾向が認められた。このことから、高社会不安群において、不安反応が否定的であるという潜在的態度が形成されている可能性が示された。また、IAT scoreと表情ごとの視線軌跡距離、注視時間との相関を求めたところ、どのような関連性も認められなかった。このことから、潜在的態度と表情情報処理における特徴との間には、直接的な関係がないことが示されたといえる。
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