2008 Fiscal Year Annual Research Report
視覚・触覚間における形態情報統合の処理ステージを探る
Project/Area Number |
20730471
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
和田 裕一 Tohoku University, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (80312635)
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Keywords | 異種感覚間統合 / 視覚と触覚における交互作用 / 空間的注意 / パターン知覚 / クロスモーダル知覚 |
Research Abstract |
視覚・触覚間での情報統合が、刺激の入力段階から反応実行までの知覚情報処理プロセスのうちのどのステージにおいて生じるのかという問題に関しては、先行研究間で見解の一致を見ていない。そこで本研究では、視覚・触覚間における形態情報統合の処理ステージを探ることを目的とした。 本年度は、視覚・触覚間の形態情報の統合に及ぼす空間的注意の影響について検討した。具体的には、刺激の提示位置に空間的注意が向けられた場合(valid試行)に情報統合がより促進され得るのか、逆に注意が向けられない場合(invalid試行)には情報統合が生じなくなるのかといった点について検討した。実験では、redundancy-gainパラダイムによる方位弁別課題に空間的手掛かり法を組み合わせた実験を行った。その結果、刺激の提示位置に空間的注意が向けられない場合でも視覚・触覚間の情報統合が生じることが明らかになった。この結果は, 視覚・触覚間の形態情報統合は空間的注意が作用するよりも前の過程で生じている可能性を示唆するものであるといえる。ただし, 注意が向けられた位置に刺激が出現する条件では、事前の予想に反して、情報統合処理の生起には否定的な結果となった。次に、ここで見出された知見の一般性を検討するために、課題を方位弁別から刺激の運動方向の弁別に替えて、先の実験の追試を行った。その結果、invalid試行では情報統合が生じるがvalid試行ではそれが生じないといった、上述の実験と同様の結果が得られた。空間的注意が刺激位置に向けられるvalid試行で情報統合が生じなかった理由に関しては、注意手がかりのモードやモダリティを操作したさらなる検討が必要である。そこで次年度は、内因性の空間的注意定位課題を用いた実験を行うことを計画している。
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