2010 Fiscal Year Annual Research Report
心理物理学的手法を用いた文処理の時間的特性に関する検討
Project/Area Number |
20730472
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植月 美希 函館短期大学, 保育学科, 専任講師 (70431781)
|
Keywords | 文処理 / ガーデンパス / 心理物理学的手法 / 実時間処理 / 日本語 |
Research Abstract |
本研究では、これまでガーデンパス文を中心に、文処理の幅広い時間特性を検討しており、ガーデンパス文では遅い提示速度条件において文処理パフォーマンスが低下することが既に明らかになっている。ガーデンパス文以外では、非ガーデンパス文やガガ文(再解析のない中央埋め込み文)等を使用してこれまで検討を進めて来たが、再解析のない中央埋め込み文の時間特性に関し、これまでの実験結果の信頼性について指摘を受けたため、今年度は(当初は処理の時間コストについて検討する予定であったが、)まずこの点について重点的に再検討することにした。 再解析のない中央埋め込み文の時間特性に関するデータを再検討するため、実験参加者を従来の実験の3倍程度に増やすこととした。また、再解析のない中央埋め込み文では「が」格の連続が含まれているが、この存在が記憶負荷を増大させることが指摘されたため、刺激文の構造はそのままであるが「が」格の連続を避け、助詞を「は」格と「が」格に変更して再検討した(再解析のない中央埋め込み文の例:春代は春美が直した戸棚を書斎で使った)。その結果、(ガーデンパス文の結果と異なり、)再解析のない中央埋め込み文は遅い提示速度条件で文理解パフォーマンスが低下しないことが示された。再解析のない中央埋め込み文には再解析はないものの、ガーデンパス文と同様に中央埋め込み節構造は存在する。従って、ガーデンパス文で見られた文理解パフォーマンスの低下は、その再解析処理に起因している可能性が高いことが示された。これにより、再解析という文処理過程が、文処理の時間特性に大きな影響を及ぼすことが示唆された。
|
Research Products
(1 results)