Research Abstract |
本研究では,長期的な学習として,1週間ごとに計3回の学習を行わせ,刺激総呈示回数と呈示傾向(増加,一定,減少)の操作が長期的学習おける単純接触効果にどのような影響を及ぼすのかを検討した。実験3-1では,各呈示傾向条件の総呈示回数を同じ回数に統一し,学習毎に呈示傾向を操作した。実験3-2では,3回目の学習フェーズにおける呈示回数を,全ての呈示傾向条件で同じ回数に統一した。実験3-3は,各呈示傾向間の総呈示回数の差と,1回の学習での呈示回数の差を実験3-1,2より大きくすることで,その後の評定にどのような影響を及ぼすのかについて検討した。 実験3-1と実験3-2では,評定直前の学習における呈示回数の多さが,5分後評定の好意度を上昇させることを示した。また,刺激の反復呈示から1週間の遅延をおいたことによって,5分後評定と比較して,1週間後評定で好意度,親近性,懐かしさが上昇していた。学習全体で同じ刺激を反復呈示したことで,呈示刺激の知識が蓄積されていたと考えられる。その蓄積された知識によって,呈示刺激に対する既知感が高まり,1週間後評定において,好意度,親近性,懐かしさが上昇したと示唆される。実験3では,総呈示回数を多くすることによって,5分後の評定の好意度を高めることが示された。刺激の呈示回数を増加させると,刺激に対する好意度も増加する呈示回数の効果については,これまでの先行研究で示されてきた。 実験3-3では,その呈示回数の効果が,長期的学習においても刺激への好意度を上昇させる一因であることを明らかにした。一方で,評定直前に最も多く呈示された刺激に対する好意度め減少が見られた。Bomstein,et al.(1990)の同じ刺激を何回も見たことによる退屈感が好意度の上昇を抑制するという知見から,評定直前で過度の呈示を行ったことで,同じ刺激に何回も接触したことによる退屈感から好意度の上昇が抑制されたと考える。
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