2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730479
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
長野 祐一郎 Bunkyo Gakuin University, 文京学院大学, 助手 (00325870)
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Keywords | ストレス / 心臓血管反応 / 回復過程 / スピーチ |
Research Abstract |
本研究は、友人とのコミュニケーションがストレスからの回復を促進するか否かを検討するために行われた。ストレス課題は、「大学で得た知識を日常生活にどのように活かすか」との内容でスピーチを行うというものであった。ストレス反応およびその回復過程は、血圧を中心とした自律神経系生理指標、質問紙による主観評定により検討された。 23名の大学生が8分間の安静期、3分間のスピーチ準備期、3分間のスピーチ期、10分間の回復期からなる実験に参加した。回復期において、半数の実験参加者は、携帯電話を介して友人とメールで会話を行い(携帯電話群)、残りの半数は何も行わずに回復期を過ごした(通常群)。全期間において、収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)、心拍数(HR)、心拍出量(CO)、全末梢抵抗(TPR)を連続的に計測した。また、安静期、スピーチ期、回復期の主観感情を、小川ら(2000)の一般感情尺度(肯定的感情(PA)、否定的感情(NA)、安静感情(CA)により構成される)により測定した。 SBP,DBP,HR,COは安静期からスピーチ期にかけて上昇し、回復期で徐々に安静期と同じ水準へ低下した。これらの生理指標に関しては、群によって統計的に有意な差は認められなかった。主観感情のうち、PA,CAは課題期で低下し、回復期で安静期に近い水準に回復した。否定的感情は課題期で上昇し、回復期で同様に回復した。肯定的感情の低下は、携帯群では統計的に有意に低く、課題後の携帯電話による会話の予期が、スピーチ中のストレス反応を減弱した可能性が考えられた。否定的感情と安静感情には、有意な群差は認められなかった。友人との会話は、その最中だけでなく、それ以前の期間においてもストレス反応を低減させる可能性が示唆された。
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