2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730481
|
Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
澤 幸祐 Senshu University, 文学部, 准教授 (60407682)
|
Keywords | 学習・行動分析 / 因果学習 / 因果推論 / 連合学習理論 |
Research Abstract |
本研究の大きな目的は、ヒトを対象として因果推論課題を行わせ、その背後にあるメカニズムを主に連合学習理論の観点から解釈することを試みることである。本年度はまず、Waldmannらの先行研究で用いられている共通因果モデルや因果連鎖モデルに対して、双方向的な因果関係を導入することで実験事態に改変を加えた。因果モデルにおいて用いられる事象を連合学習理論における刺激呈示と読み替えた場合には、因果を示す矢印は双方向的になると考えられる。すなわち、双方向的な因果関係によって結ばれる事象においては相互に影響を与える循環構造となる。こうした因果モデルを用いた場合に、ある事象の生起を観察した場合と事象に対する人工的介入があった場合に、実験参加者がモデル内の別の事象に関して生起・非生起の予測をどのように行うかを検討した。具体的な手続きとしては、各事象を「ある動物の体内におけるホルモンの相互関係」とするカバーストーリーを作成し、実験参加者に対してこうした因果構造を仮説として呈示した。その後、過去の研究で用いられているような観察と介入によるモデル内の事象の生起・非生起に関して実験参加者に評定をさせたところ、双方向的な因果関係が存在する場合においては共通因果モデルとは異なり、因果連鎖モデルにおいて確認されたものと類似した結果が得られた。この結果は、連合学習理論において予測されるものと類似しており、ヒトの因果推論事態において確認されるような観察と介入では異なる判断を行うという結果が、原因から結果への単方向的な性質に依存している可能性を示唆している。
|