2010 Fiscal Year Annual Research Report
反応時間計測から見た自動車運転時における有効視野に関する研究
Project/Area Number |
20730485
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
瀬谷 安弘 東北大学, 加齢医学研究所, 産学官連携研究員 (30454721)
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Keywords | 有効視野 / 反応時間 / 眼球運動 / 視覚的注意 / 自動車運転場面 / 知覚スキル |
Research Abstract |
自動車運転時において,運転者は主に視覚情報に基づき適切な運転行動を遂行しており,事故原因の多くが視覚情報の知覚・認知エラーに起因することが指摘されている.本研究では,交通事故との関連が高いことが報告されている有効視野に着目し,運転中の有効視野の空間特性及び時間特性に関する実験心理学的検討を行った. 本年度においては,これまで有効視野の計測に用いた視野制限法を応用・発展させ、有効視野内の情報が処理されるのに必要とされる最小時間を計測する実験を行った。この実験では,同心円状に配置された複数の妨害刺激(L)の中からターゲット刺激(T)を探索する課題を用い、その間の被験者の視線を計測し,視線データに基づいて,視野中心の領域を制限するマスク刺激を提示した。視線の移動から、マスク刺激が移動するまでの時間遅れ、即ち、視野内の情報を視認可能な時間、を操作し(0-500ms)、探索反応時間を計測した。結果は、時間遅れが0及び50msの場合には、それ以外の条件よりも反応時間が遅くなった。100ms以降では、条件間に差が無く、またマスクを提示しない統制条件との間にも差がなかった。また、眼球運動の結果は,時間遅れが長くなるほど、サッカードの距離が短くなることを示し、100ms以降の条件では統制条件との間に差はなかった。これらの結果は,探索課題状況において、有効視野内の情報がおよそ50-100ms以内に処理されることを示唆する。 上記の研究に並行して、移動する背景の中にある物体が、背景の動きとは反対方向に動いているように知覚される誘導運動錯視に着目し、誘導運動観察時の眼球運動を計測する実験も行った。結果は、背景に対する眼球運動反応(視運動性眼振)が生じやすい場合には、錯視が大きく知覚されることが明らかとなった。 以上の研究成果及び関連研究の成果は,国内学会において発表した.
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