2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730489
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
和田 有史 National Agricultural Research Organization, 食品総合研究所食品機能研究領域, 主任研究員 (30366546)
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Keywords | 錯視 / 輝度ヒストグラム / 材質感知覚 / 心理物理学 / 速度変化 |
Research Abstract |
本研究は食品認知における錯視現象の存在を明らかにした。 まず、食品の鮮度が、輝度ヒストグラムの形態によって、変化して知覚される錯覚を発見した。この研究では、実際に鮮度が低下する過程を写真撮影し、その画像の輝度ヒストグラムを他の画像に貼り付ける輝度ヒストグラムマッチングにより作成した画像を用いて実験を行なった。この人工画像に対する鮮度評価と、実際に鮮度が低下している写真に対する鮮度評価を比較した結果、鮮度知覚の一部が輝度ヒストグラムの形態の変化に依存することを見出した。 さらに、食品の材質問の知覚に関連する、運動による質感の視知覚に関する研究を行ない、貫入物が被貫入物に接触した時点での速度変化が物体の硬さの知覚を変化させる錯覚が存在することを確認した。この実験では、棒が半球状の物体を貫くようなコンピュータグラフィックスを作成し、棒が物体に接触する前後の運動速度を操作した画像を刺激として用いた。この結果、物体のクリスプネスに対応すると考えられる物体表面のかたさの知覚は、物体接触前後に減速し、その後加速する、という速度変化によって生じることが示唆された。 本研究成果は、幾何学的錯視研究などで報告され続けてきた錯視が、日常的な食品の知覚にも存在することを示した。このような知見を集積することにより、食のバーチャルリアリティや、病院食などの提供の仕方などの実際場面応用することにより、国民の食のクオリティオブライフの向上に役立つことが期待できる。
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