2008 Fiscal Year Annual Research Report
授業における児童の関係認識の発展に関する実証的研究
Project/Area Number |
20730491
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
杉本 憲子 Ibaraki University, 教育学部, 講師 (70344827)
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Keywords | 教育学 / 授業研究 / 思考過程 / 関係認識 |
Research Abstract |
本年度は以下の2点を中心とした研究を行った。 第1は、子どもの関係認識とその発展過程に関する先行研究の検討と課題の整理である。この点の理論的検討として、上田薫の知識論に着目し、関係の動的変容としての個の認識の深化について考察した。また関係認識の発展過程を具体的に把握するにあたり、日比裕が提示している子どもの論理の形成過程の諸段階を関係認識の発展という観点から検討するとともに、小学校の算数の事例にもとづく詳細な考察を行った。その成果として、関係認識の発展過程を段階的に把握するとともに、対象のもつ諸関係が十分理解されず試行錯誤的に行われるにとどまった学習活動から見通しをもった活動への発展、言い換えれば関係認識の成立や発展には、やや不明瞭ながらも着目された関係の気づきや予測というものが介在していることが考察された。これらの研究成果については、論文としてまとめた。 第2は、研究授業の計画・実施および記録化の作業である。具体的な授業にもとづいて児童の関係認識のあり方を把握するとともに、それを促す授業の構築に関する知見を得るため、授業者との協議の上で小学校での研究授業を計画・実施し、記録した。具体的には、島根県内の公立小学校(算数)および茨城県内の公立小学校(国語)において研究授業の実施、記録を行い、ノート・作文等の資料を収集した。研究授業実施後、授業記録の作成および関係資料の整理等を進めた。
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