2009 Fiscal Year Annual Research Report
授業における児童の関係認識の発展に関する実証的研究
Project/Area Number |
20730491
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
杉本 憲子 Ibaraki University, 教育学部, 准教授 (70344827)
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Keywords | 教育学 / 授業研究 / 思考過程 / 関係認識 |
Research Abstract |
本年度は以下の2点を中心とした研究を行った。 第1は、児童の関係認識の発展における集団思考の役割とそのあり方を探るための研究授業の実施および記録化である。昨年度の研究成果を踏まえ、児童の認識の深化を図るには、子ども相互が考えを働きかけ合う場が重要な役割をもつことから、集団思考の場における児童の認識の変容を明らかにするために、とくに児童の話し合いを心とした小学校・国語の授業に焦点化して授業の参観・記録を行った。実施した授業の授業逐語記録の作成およびノート等の資料整理を行うとともに、考察を進めている。 第2は、具体的な授業実践の分析にする児童の関係認識の発展過程の考察とそうした認識の深化を支える授業論的課題の検討である。分析の対象として、本研究で昨年度実施した研究授業(小学校・国語)を取り上け、授業記録、ノート、作文等にもとづく考察を行い、研究成果を論文としてまとめた。本分析を通して、学習開始時には登場人物の行為とそれに対する児童の解釈が直線的・単純に結びつけられているのに対し、授業過程でそのとらえ方に問い直しが生じ、登場人物の行為の背景やその場面ないし物語全体との関連でとらえ直される過程を明らかにした。また児童相互の解釈の相違点等の立ち表れる場面が認識の変容の契機として重要であり、疑問点や対立点、共通点をはじめとして子どもが自己と他の考えを関連づけてとらえる学習の体制が子どもの関係認識を促す授業の基盤として重要であることが考察された。
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