2010 Fiscal Year Annual Research Report
幼稚園から小学校への協同性の発達と教師の援助:縦断的観察による活動ごとの発話分析
Project/Area Number |
20730493
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岸野 麻衣 福井大学, 教育学研究科, 准教授 (80452126)
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Keywords | 幼児期 / 遊び / 協同性 / 教師の援助 / 幼小の移行 |
Research Abstract |
本研究では,幼稚園から小学校への移行時において,授業の成立や教科の学習の前提となる「協同性(共通の課題目的に対して試行錯誤しながら協力して実現しようとすること)」の発達とそれに向けた教師の援助について,幼稚園から小学校への縦断的観察により,具体的な活動タイプによる特徴を検討する。1年次には,主に幼稚園の年長児クラスの自由遊びに焦点を当ててビデオによる観察調査を行い,小集団で育成される協同性について明らかにすると共に,小学校1年生のクラスでの観察により比較検討も行い,幼小の連続性を確認した。これらを踏まえて2年次である今年度は,主に幼稚園の年長児クラスの集団活動に焦点を当てビデオによる観察調査を行い,教師が自由遊びと集団活動をつなぎ,子どもたちの時間と空間と関係をつなぐことで協同性を育成していく過程を明らかにした。特に一斉活動の前半に行われている,自由遊びの報告や相談等の話し合い場面の分析を行った結果,次の3点が明らかになった。遊びの共有場面においても問題解決場面においても,第1に一つの物や事柄を具体的な物や体験を媒介に課題や問題を共有し,第2にクラス全体で同じ体験(擬似的な追体験や未来のより良い状況の体験を含めて)を持ってみんなのものにし,第3に次回の遊び場面につながる形で話し合いを終えるという構造になっていた。日々の保育の中で,遊びの課題や問題を共有しながら次の遊びに向けてみんなで考えていくということが重ねられることで,協同性が形成されていくことが示唆された。
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Research Products
(3 results)