2008 Fiscal Year Annual Research Report
「平成の大合併」は地方教育行政に何をもたらしたか-「教育行政の地方自治」の再検討
Project/Area Number |
20730507
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
川上 泰彦 Saga University, 文化教育学部, 講師 (70436450)
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Keywords | 教育学 / 教育政策 / 市町村合併 / 教育行政 |
Research Abstract |
平成20年度は、まず市町村合併によって公立学校支援の状況にどのような変化が生じたのかを調査した。二段階の市町村合併を経て広域化した市を対象に、それぞれの被合併地域に在職していて合併前後の状況を両方知る校長(3名)を探し、合併に伴う学校支援の変化や近隣校との関係の変化などについてデータを収集した。学校支援の主体が旧町村教委(および県教委の出先機関(教育事務所))から市教委へと変化することにより、支援が充実したと認識される項目と支援が後退したと認識される項目がそれぞれ存在していることが判明した。また市教委に対しても調査を行い、合併・広域化に伴う学校支援関連の予算措置等の変化、また市教委による学校支援体制の変化や実務上の変化についてデータを収集した。このケースでは市町村合併を経たにもかかわらず財政事情は必ずしも良くないため、市町村合併が学校支援体制の充実には直結していないことが判明したほか、県教委およびその出先機関(教育事務所)と市教委との関係の変化が市町村による学校支援の実務にも影響していることが明らかになった。 以上のような調査結果をふまえ、平成20年度は研究成果の公表には着手しなかった。というのも、次年度(平成21年度)の調査によって県教委(本庁と出先機関)による学校支援の実務の変化や市町村教委との関係の変化を調査し、これを平成20年度の調査結果とあわせて吟味する必要が生じたからである。したがって平成20年度の調査は、今後の成果のまとめ・公表に向けた基礎作業と位置づけられる。 またケーススタディをベースとする質的な調査を進める一方で、「平成の大合併」以前から、市区町村が人口地理的・社会経済的状況をどのように変化させてきたのかを統計的に把握するためのデータセットを購入・整備した。これも次年度(平成21年度)以降の分析作業に向けた基礎的作業と位置づけることができる。
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