2010 Fiscal Year Annual Research Report
「平成の大合併」は地方教育行政に何をもたらしたか―「教育行政の地方自治」の再検討
Project/Area Number |
20730507
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
川上 泰彦 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (70436450)
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Keywords | 教育学 / 教育政策 / 教員人事 / 教育行政 / 市町村合併 |
Research Abstract |
平成22年度は、平成21年度に引き続き、市町村合併と地方局の再編(教育行政領域でいえば教育事務所の再編)が教育行政領域にどのようなインパクトを与えたのかについて調査を行った。今年度は調査対象を都道府県レベルに設定し、ここ10年で大規模な市町村合併が行われ、現在は他の行政部局と併せて教育事務所の再編について議論が進みつつあるS県を具体的な調査対象とした。県内の全教育事務所(5事務所)の担当職員に対するインタビュー調査と資料収集を実施し、学校支援・研修等の企画実施の現状と近年の動向を調査したほか、教育事務所再編に向けた動向と予想されうるインパクトについても情報を収集した。また、S県教委本庁(教職員課)においてもインタビューを実施し、市町村の広域化が教員人事行政事務にどのようなインパクトを与えてきたのか、また今後予想される教育事務所の再編がどのようなインパクトを及ぼしうるのかについて調査を進めた。 また、平成21年度に作成したデータを用いて、市町村の広域化等が教員人事行政の動態(異動の地理的範囲や事務過程)にどのような影響を及ぼしているのかについても検証し、成果を日本教育経営学会紀要の論文とした(査読付き)。同様に、自治体における総合的な「改革」と位置づけられる広域化などが教員人事行政全般(採用・研修・異動のほか日常の業務等)にどのようなインパクトを与えたのかについて報告の依頼を受け、日本教育行政学会第55回大会の課題研究において発表した。また、同様のインパクトが学校管理職の昇進選抜における県-市町村関係にも見られることから、この点を苅谷・金子編『教員評価の社会学』(岩波書店)の分担執筆で明らかにした。さらに、教員の異動パターンの変化が教員の能力形成等にも違いをもたらすという可能性について分析を行い、成果を日本教育行政学会第55回大会で発表した(自由研究発表)。
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Research Products
(7 results)