2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730513
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
河原 紀子 共立女子大学, 家政学部, 専任講師 (90367087)
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Keywords | 幼児 / 危険 / インタビュー / 事故 / 安全教育 / 活動量 |
Research Abstract |
本研究では、子どもの事故の問題を、おとなが用意する環境やモノを、子どもがどう受け入れるのか、能動的に活動する子どもと環境とのコンフリクトと捉え、幼児の安全教育のあり方について対物的側面に着目して発達的に検討することを目的とした。 今年度は、1.新規に入園した3歳児5名を対象に、入園から約1か月後および10か月後に、大型遊具の遊び方および保育者が危険と回答した場所についての幼児の危険性の認識などについてインタビューを行った。2、昨年度インタビューを実施した新入園児7名を対象に同様のインタビューを行い縦断的なデータを収集した。3.新入園児を対象にアクティグラフを用いて幼児の活動量の測定および行動観察を行った。4.データ分析を行った。横断データについて、昨年度の結果を踏まえ「危ないか、危なくないか」と尋ねられたさいの幼児の回答・説明のうち、「ちょっとだけ危ない」「~のときは危ないけど、~したら危なくない」といった相対的な危険性の表現の有無に着目して詳細なプロトコル分析をしたところ、危険な場所・物8か所のうちいずれかで相対的な危険性の表現をした幼児は、5歳後半以降の年長群が有意に多かった。また、同様に「すべり台」の遊び方についても、5歳後半以降の年長群に有意に多かった。「ちょっと危ない」という回答が相対的に多かったが、「長いズボンなら平気だけど、短いズボンは平気じゃない」などが見られた。このことから、5歳後半以降、幼児は物理的環境や遊び方における危険性について相対的に捉えるようになることが示された。また、両者に共通して、「ちょっと」という限定表現から「~の場合に危ない」という多面的表現へと発達的に変化することが明らかとなった。さらに、これらの発達プロセスと同様の傾向が新入園児による縦断データにおいても見られることが示唆された.
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