Research Abstract |
高等学校におけるボランティア活動の単位認定を含めた具体的な実践状況を明らかにするために,11校の高等学校を対象とした面接法による聞き取り調査を2009年8月から9月にかけて実施した。 その結果,ボランティア活動の単位認定について,制度としては導入されているが,実際に認定される生徒数は多くないことが明らかになった。また,制度導入を特色ある学校づくりの一環として位置づけたこと,あるいは,ボランティア活動が盛んであった地域性などを背景に,特に賛否等の議論がなされることなく導入に至るケースがあったこともわかった。 単位認定も含めたボランティア活動促進関連業務について,校務分掌に明示されることは少なく,生徒指導関連部署や特別活動関連部署の担当者,あるいは,ボランティア活動関連部活動の顧問などがその役割を担うケースが多かった。それに関連して,ボランティア活動関連情報の収集・整理,外部との連絡・調整,生徒に対する事前・事後指導など,特定の少数の教員に過剰な負担がかかっている現状も垣間見られた。 ボランティア活動の具体的な実践に関して,地域に根差したボランティア活動に着目すると,学校の所在する地域の文化や伝統に関連した活動に取り組むことが多かった。また,地域社会を知るという意味で,教科で地域を素材とした学習が行われるケースがあり,そうした学校では,地域に密着した活動が行われやすいこともわかった。なお,非都市部では,高校生の存在自体が貴重な地域資源で,地域社会の活性化の視点からも,高校生のボランティア活動が看過できない状況にあるところも散見された。
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