2010 Fiscal Year Annual Research Report
ペスタロッチーにおける教育と福祉の原理的融合に関する基礎研究
Project/Area Number |
20730517
|
Research Institution | Kansai University of Social Welfare |
Principal Investigator |
光田 尚美 関西福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (90412098)
|
Keywords | ペスタロッチー / 人間的自立 / 貧児・孤児教育 / 子どもの権利 / 児童福祉 / 社会的貧困 / 施設教育 |
Research Abstract |
平成22年度の主要な成果は、夏季にスイス・チューリッヒのZentralbibliothek及びPestalozzianum Forschungsbibliothekにて資料収集を行ったことである。ペスタロッチーにかかわる未収集の先行研究のほか、主として16~19世紀のスイス・ドイツ語圏スイス、スイス周辺地域の社会福祉政策にかかわる文献資料を調査し、収集した。特に、Heidi Kallert(1964)やMaria Crespo(2001)による17、18世紀のWaisenhaus(孤児院)やHeimerziehung(施設教育)の施策に関わる先行研究は、ペスタロッチーの教育実践の位置を確認し、その意義を再評価するに際して貴重な資料となろう。また、スイスの歴史・社会史、カントン・チューリッヒの社会的貧困に関する資料のほか、社会情勢等に関する統計資料、カントンにおける貧民救済措置等に関する資料なども、Pestalozzianum Forshungsbibliothekの職員の方々の協力を得て、収集することができた。これらは、本研究の目的の一つである、「時代考証にもとづくペスタロッチー教育思想の再評価(18世紀スイスの文教及び社会福祉政策との関連に照らしての思想解釈)」に有効に活用できるものと思われる。 本年度は、スイス現地にての資料収集と、帰国後はその整理及び分析作業を集中的に行ったが、分析の経過を学内紀要(原著論文)で発表するとともに、研究会にて口頭発表した。前者においては、社会福祉分野の研究者による査読を通して、社会福祉の理念と教育概念との関連性にかかわる貴重な示唆を得ることができた。また後者では、本研究の方法論として社会史的研究の手法を導入することの意義や歴史的資料の活用方法、学会発表に向けての見通しなど、具体的な指導・助言をいただいた。
|
Research Products
(1 results)