Research Abstract |
保育における遊びを捉えるとき, 保育者による援助の役割は大きい。保育者を媒介としながら, 子どもたちの日常/保育生活と遊びが融合する場に, 保育における遊び世界が成立するものと考えられる。そこで本研究では, 1. 相互行為分析を行い, 2. 遊びを支える保育・教育方法を提示することを目的に据えた。その際に, (1)の主体者としての子ども, (2)遊びを援助・指導する人的環境としての保育者, (3)物的環境としてのモノ(玩具等)という重層構造をなす保育における遊びという観点から分析を行った。具体的には, 1. 保育所をフィールドとして, 2歳から5歳児までの保育場面をビデオカメラ及びICレコーダーで記録した。データを文字化したものを分析の対象としたが, その際に子どもの動き, 発話, 使用しているモノ, 保育者の発話, 保育者の動きについてもトランスクリプト化し, 遊び場面状況の生成について検討した。2. 保育者が現代の子どもの遊びの成立過程についてどのように捉えているかを調査した。質問項目を用意したが,できるだけ保育者の自由な語りを引き出す形でインタビューを行った。まだ記録したビデオデータを保育者と一緒に分析し, 遊びの重層構造の構成要因として, 生活面からのコンテクストを得ることができた。その結果, 保育者が捉える子どもの遊びは, 幼児の全人格的活動の一部であり, そこから切り離されて存在しえない現象であるということを考察した。すなわち, 保育における遊び援助の視座とは, その活動から子ども一人一人の発達の把握し援助するためにある。子どもが変わってきたといわれる現在, 幼児の主体的活動たる遊びから, そうした変化を読み取り, 発達を援助していく視座が必要であると考察した。
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