2009 Fiscal Year Annual Research Report
台湾の小・中・高校教科書とナショナル・アイデンティティに関する包括的研究
Project/Area Number |
20730534
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Research Institution | Akita International University |
Principal Investigator |
山崎 直也 Akita International University, 国際教養学部, 助教 (10404857)
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Keywords | 比較教育 / ナショナル・アイデンティティ / 教科書 / 台湾 / 社会科教育 / 歴史教育 / 教育改革 / ナショナリズム |
Research Abstract |
本年度は、二度の現地調査を行い、小・中学校の『国語』/『国文』、『生活』、『芸術と人文』、『社会』、高校の『国文』、『歴史』、『地理』、『公民と社会』の検定教科書の体系的な収集を継続するとともに、関連する二次資料の収集、現地研究者との意見交換を行った。 台湾の学校教科書研究の方法として、第一に2000年代の検定教科書の出版社別・時期別(ひとつの出版社の教科書が『課程綱要』=カリキュラムガイドラインの改定で、どのように変化するか)比較によって「差異の中の共通性」を抽出した上で、第二に2000年代の検定教科書とそれ以前の国定教科書を巨視的に比較するという2フェイズの教科書分析という手法を確立した。短期的比較→長期的比較という2フェイスの教科書分析という手法によって、1960年代から2000年代までの中学校の社会科教育の教科書(『歴史』、『地理』、『公民と道徳」、『認識台湾』の国定教科書と『社会』の検定教科書)を分析し、日本国除教育学会第20回大会(2009年9月12日)およびアジア経済研究所「台湾総合研究III-社会の求心力と遠心力」研究会(2009年9月25日)で発表した。同発表の内容は、2010年度中に投稿論文としてまとめる予定である。 こうした教科書の「内容」の変化、およびそれをめぐる社会的・政治的議論を考察する中で、それが教科書の「制度」をめぐる社会的・政治的議論と分かち難く結びついていることを発見した。次年度においては、教科書内容分析のさらなる深化と同時に、教科書検定制度に対する「挑戦」というべき2000年代の教科書「制度」論争にまだ研究の射程を広げていきたい。
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Research Products
(2 results)