2008 Fiscal Year Annual Research Report
参加型現代美術作品を用いた体験的鑑賞教育の可能性についての調査研究
Project/Area Number |
20730547
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
喜多村 徹雄 Gunma University, 教育学部, 講師 (60466688)
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Keywords | 美術教育 / 鑑賞教育 / 現代美術 / 参加型作品 |
Research Abstract |
本研究は、参加型現代美術作品を用いた体験的鑑賞教育の可能性と「その意義を明らかにするための調査及び研究を行うことにある。現代美術といった場合、一般にその表現領域や時代区分が明確ではないため、これを借定する必要があった。調査の結果、2004年に開館した金沢21世紀美術館の作品収集方針に示された「1980年以降に制作された新しい価値を提案する作品」が現状に最も則していた。これを採用し本研究が対象とする現代美術作品とした。次に全国の美術館から現代美術作品を収蔵する美術館のリストを作成することを行った。上記した借定と照合した場合、近代美術館でも現代美術作品を収蔵していることが判明した一方、現代美術館はその性質上、作品収集を行っていない館が多いことが判明した。参加・体験型作品に限定した場合、収蔵点数は著しく低くなった。収蔵する全ての作品データが公開されていないことも多く、完全なデータベースを作成することは困難であるが継続中である。これが本年度の成果の1点目である。 2点目として。参加型現代美術作品が展示に含まれていた展覧会を踏査した。金沢21世紀美術館でさた「金沢アートプラットホーム2008」と水戸芸術館で開催された「カフェ・イン・水戸2008」、宮城県美術館で開催された「OCCUR2009交差The moment a vector crosses.」である。その結果、次の三つの特性が判明した。第一に地域性の問題、第二に教育現場との連携に係る諸問題、第三に美術館の教育普及担当者又は鑑賞プログラムの構築に係る問題である。上記した美術館及び他館の鑑賞プラグラム及びツールの調査を始めたところであり、09年度も継続して行う予定である。 以上の調査がら、参加型作品の体験によってのみ鑑賞教育の体験性が特化されるのではないことが判明した。鑑賞行為自体が体験的学習であるという前提のもと、作品との出会いをどのように構想するかが最も重要であることが明らかとなった。
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