2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730552
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
影山 和也 Aichi University of Education, 教育学部, 准教授 (60432283)
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Keywords | 数学教育 / 認識論 / 図形学習 / 授業構成 |
Research Abstract |
H21年度の主な研究目的は,前年度から継続して図形・空間に関わる数学的知識の考察を進めながら,小学校高学年から中学校を射程とした算数・数学授業構成論の検討にあった。 数学的知識の構成や価値づけは算数・数学授業での状況に依存してなされる。前年度までの研究では,授業の進展を状況の変容過程として捉え,変容のきっかけは状況に応じた知識の価値づけにあると見なしてきている。H21年度ではさらに,知識の価値を概して「有用性」に求め,(問題解決のための)道具としての知識と考察対象としての知識,数学授業における観察や実験の意義,集合のアイデアに基づく変数としての図形の持つ性格について述べてきた。特に,「道具」を広義の問題解決に当たって有用であるものとし,卑近な意味での有用性を満たすのみではなく,状況の目的に応じて児童・生徒が主観的に意味づけるものとして拡げた。したがって,従来の図形認知研究における形の識別において,その判断は状況の目的に応じて変容しうることになろう。これは先の知識構成の状況依存性とも整合し,算数・数学授業の具体的な構成原理の1つとして位置づけられ得ることを検討した。
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