2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730552
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
影山 和也 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (60432283)
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Keywords | 数学教育 / 認識論 / 図形学習 / 授業構成 |
Research Abstract |
H22年度の主な研究目的は,小学校高学年から中学校を射程とした算数・数学授業構成論の検討および具体的な授業構成にあった。特に,中学校第一学年「平面図形」を題材として,小学校高学年からの接続を意図した「図形の敷き詰め課題」への取り組みを軸とし,図形の移動と作図,対称性の理解をねらいとする授業を現場教師との協同により設計し,H22年度末に実践を行った。これは,数学的知識の道具的性格はその有用性と結びつき,図形の敷き詰め模様を作図したり,移動させたりする活動が高次の数学的な見方へとつながるという前年度までの研究成果を具体化するものである。 授業実践を通して見えてきた,生徒の一部の様子は以下の通りである: ・敷き詰め課題の解決のために,生徒は図形の辺を延長したり,平行線を利用したりする。 ・個々の図形からなるまとまりに着目することもそうした方法の1つであるが, ・まとまりの構成においては,(I)図形をひとまとまりの単位と見る,(II)まとまりの構成,(III)まとまりの操作,(IV)まとまりからなる新たなまとまりの構成,という4つの段階が認められる。 ・必要に応じて,中等幾何教育で育成が期待されるような,高次の幾何的思考(図形の決定条件,パターンの認識と活用など)を生徒は潜在的に持っている。 このほかにも,教師から明示的に教えられずとも図形の対称性を作図に利用したり,図形の移動に際して作図の経験を生かしたりする姿が見られた。これらの成果は図形の授業構成のための基礎として位置づけられうるものと考えられる。
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