Research Abstract |
今年度は主にNPO,学校,地域が協働して実施する防災教育の取り組みについて検討した.具体的には,第1に,兵庫県西宮市の防災NPOと共に,同市内の小学校において,子どもを対象とした年5回の防災教育プログラム(「防災こどもクラブ」)を実施した.ここでは,防災まちあるき,防災ゲーム(「クロスロード」や「防災ダッグ」など),足湯体験等を通じて,防災活動において,我々の暮らす地域を知り,多様な価値を持つ地域住民と知り合うことの重要性を検討した.第2に,兵庫県内の防災教育に力を入れる高等学校の取り組みについてフィールドワーク調査を実施した.特に,8月のネパール・カトマンズ近郊で実施された防災子供サミットでは,日本の生徒達と現地の同年代の生徒や教員との,防災教育を通じた交流を検討した.これらの交流を通じて子ども達が学んだことは,直接的な防災知識のみならず,防災活動を通じた,国際的な貧困格差,国際協力のありよう,環境問題そして,障害者やエスニック・マイノリティへの視点であった.第3に,台湾集集地震(1999年)被災者と新潟県中越地震(2004年)被災者との交流事業である.集集地震の被災者が中越地震の被災地である新潟県小千谷市の集落を訪れ,互いの地域復興の取り組みを話し合った.ここでは,震災を契機として地域をさらに活性化していくための長期的取り組みを検討した.具体的には,集集地震被災地が生態系を重視した観光地として再生した事例から,小千谷市集落のこれからの取り組みについて考察した.上記の事例研究を通じて,災害時および復興課程における,様々なステイクホルダーが係わることの重要性と長期的視点の必要性を検討した.
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